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「顔真卿 王羲之を超えた名筆」展


 今月の初めに、顔真卿展(東京国立博物館)を観に行きました。一番の目的は「台北国立故宮博物院より奇跡の初来日」とパンフレットにあった、顔真卿が西暦758年に書いた「祭姪文稿さいてつぶんこう」。 

 博物館2階の、牛の肩甲骨に刻まれた「甲骨文」から始まる閲覧順路を進んでいくと、漢字が古代中国で生まれ、篆書・隷書を経て草・行・楷書へ進化していく流れの概要が分かるよう、驚くほど数多くの唐代の碑の拓本や写本を中心に展示されていました。

 見学し始めのうちは、昨年からずっと臨書勉強悪戦苦闘中の石鼓文や乙瑛碑を見ては「読めるっ読めるぞっ」とmスカ大佐みたいなことを話しつつ、わくわくと楽しく進んでいたのですが、「祭姪文稿」を見るための列に並び、書き進めているところを再現したかのように一画ずつ文字が浮かんでいく映像や、注釈文を読んでいるうちにすっかり無言に。
 
 顔真卿のいとこの息子 顔季明が、安史の乱で味方の裏切りにあい首だけとなって戻ってきたことを悼んだ弔文の草稿は、最初の落ち着いた文字から、文が進むにつれ、悲憤も露わにぐしぐしと塗りつぶされ書き加えられ、墨の濃く太い文字からかすれ細くなってまた墨つぎされて続く文字の、墨痕淋漓としたさまは書かれてから1261年経ったとは思えない迫力と存在感がありました。

 すぐおとなりには後の時代に乾隆帝たちが祭姪文稿につけた題跋文の説明があり、安史の乱が起きた時の唐の皇帝玄宗(楊貴妃を寵愛したことで有名ですね)に対して、1000年ほど後の時代の清の乾隆帝が、顔真卿の献身を玄宗帝だけが知らない、とトゲトゲちくちく書いているのを面白く読みました。
  

 図録表紙の顔真卿という文字は、顔真卿の「千福寺多宝塔碑」の書から抜き書きしたものだと思いますが、顔真卿の書が他にもズラッと30作近く。書いた顔真卿もすごいけれど、書いたままを碑に彫る人もすごいわぁと思いつつ進んでいくと、草書で有名な懐素の真筆「自叙帖」があり、こちらも故宮博物院から来日中だったのをその場で知り驚愕。
 「自叙帖」の内容に、顔真卿にこんな風に褒めてもらった!ということが書いてある関係だったからでしょうか。懐素は「千金帖」も来日中でした。
 少し進むと人だかりがあって覗くと李公麟の「五馬図巻」が。なぜいまここにと不思議でしたが、五馬図巻の跋文を書いた、宋の黄庭堅が顔真卿の書風を学んだという説明で納得。
 また近くには唐の影響を受けたという日本の三筆の作品と、その後の国風文化時代の三蹟の作品が、国宝・重文あわせてずらりと並んでいて、上手く言えないけれど例えるならピカソのゲルニカ来日中だってと観に行ったらゴッホとセザンヌと狩野永徳もあってミケランジェロも混ざってる?!え本物?と吃驚仰天している感じでした。
 
 2月24日までの展示とありましたが、作品搬入に陸路を取れない島国日本ですので、お帰りの際はどうかご無事でと心より祈っているこの頃です。

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